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● 作品について ●
当プロジェクトは第6回横浜山手芸術祭の公式プログラムとして、同地西洋館の一つで横浜市指定文化財でもある
「山手111番館」にて制作公開されたインスタレーションアート作品です。
MoNoは、昨年の「分子の森 Molecular Cluster」に続き同芸術祭2度目の参加となりました。
「111番館」は、前作の会場「ベーリックホール」と同じ建築家J.H.モーガン氏による設計で、やはり前会場同様に赤茶のスペイン瓦とダークグリーンの金物塗装が印象的なスパニッシュスタイルの建物です。英国人両替商ラフィン氏の邸宅として、この地山手111番地に1926年に竣工しました。個人住宅として70年間使用された後、横浜市が建物の寄贈を受けて保存改修工事を行い、1999年より一般公開しています。敷地は、横浜の街並みを見下ろせる緩やかな斜面地で、その土地形状を生かして西のファサード側は地上2階、東のガーデン側は地下1階を加えた3層構成となっています。創建当時は地階にガレージと使用人部屋、1階にはエントランスとそこからつながるホールと食堂・厨房・居室、そして2階はホールとつながる吹抜けを囲む回廊と寝室・スリーピングポーチがありました。現在の地階は「港の見える丘公園」内のローズガーデンとつながるカフェスペースとなり、この建物のたたずまいは公園の四季の風景に瀟洒な彩りを添えています。
MoNoが今回の作品の制作公開をした空間は、この建物の心臓部とも言うべき2層吹抜けの「ホール」です。この部屋は当建物間取りのほぼ中央にあり、諸室に囲まれるように配置されているので、わずかに玄関ポーチに張り出たアルコーブ部の窓以外に開口部はありません。けれども吹抜けによって2階とつながることで、この吹抜けを360度取り囲む上階の回廊の南北の壁に設けられた窓より降りてくる自然の光でホール全体が明るく保たれています。その光の様子は時刻や季節によって異なります。私達はその光の変化をさらに強調するための仕掛けとしてこの作品を制作しました。縦横に宙に浮かぶ連続する透明素材は、光を輪郭ある造形物に表現したものでもあります。この素材が光を透過させたり反射させたりすることでそれ自身の見え方が七変化し、また空間への光の状況を変化させるのです。この古い洋館が80年以上に渡って繰り返してきた光の営みが、この1週間だけは少し異なるリズムを体験することとなりました。
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<<山手芸術祭とは??>>
今年で第6回を数える横浜中区の山手地区で催される芸術祭です。港の見える丘公園や、洋館、外国人墓地など、横浜らしいエキゾティックな風情が漂う山手地区で、音楽、美術、演劇、ダンス、古典芸能、文学の多彩なジャンルにわたる芸術祭を、アートNPOや地域団体の連携により、「横浜山手芸術祭」として開催します。外国人の居留地であった山手地区は、開港期、海外からの文化が日本にいち早く伝わり、シェイクスピア劇が日本で初めて上演される等、近隣県の文化人の憧れの場所でした。この山手地区の歴史と地域資源を活かし、総合的芸術祭を実施することにより、地域活性化と地域文化振興を目指します。
第6回山手芸術祭案内HP http://www2.yamate-seiyoukan.org/yamate-arts/2011/
<概要> 催 事 : 第6回 横浜山手芸術祭
会主催 : 横浜山手芸術祭実行委員会
会共催 : 財団法人横浜市緑の協会
横濱西洋館de古楽実行委員会
後援 : 横浜市文化観光局
横浜市中区役所
会場 : 横浜市指定文化財
「山手111番館」 ホール
横浜市中区山手町111
tel 045-623-2957
期間 : 2012年2月26日(日)
~3月4日(日)
09:30~17:00